血圧測定の落とし穴
どっち?
「血圧が高いといわれました」
「血圧が、ですか?」
「はい、検診にいったらおどろかれました」
「それは、血圧のことですか?血圧計の数値のことですか?」
「???」
ここで、いったん会話がとぎれます。
まず、はっきり定義しておきましょう。
世間一般の認識です。
「血圧が高い」というのは、「血圧計にでる数値が高い」ということ。
そして、もちいられる血圧計は、しばしば自動血圧計です。
実際の「血圧」と、「血圧計の数字」とは、別物です。
そういう場面に、ご用心というお話です。
血圧測定の原理
ウデの中で、いちばん大きな動脈は、上腕動脈です。
力こぶの下をはしっています。
この動脈を、ウデ輪(マンシェット)でギューとしめ上げて、血流を止めます。
そのあと、すこしずつ圧力を、ゆるめてゆきます。
やがて、上腕動脈内に、血液が流れはじめます。
ただし、まだ狭い上腕動脈は、血液の流れに「うず」を生じます。
「うず」は、音を生みます。
その音が聞こえはじめたら、動脈血が流れはじめた証拠。
この圧力を、上の血圧と決めておきます。
さらに、ウデへのまきつけ圧を、さげてゆきます。
やがて、上腕動脈の変形をうむ力が、なくなります。
すると、上腕動脈内を、スイスイ流れだします。
「うず」が消えます。
すると、うずの音も消えます。
このときの圧力を、下の血圧と定義します。
血圧測定の、原理であり、定義です。
デコボコ
血圧測定の理屈は、よろしいでしょうか。
ここで、注意していただきたいことがあります。
この血圧測定方法は、つくりたてのゴム菅のような血管なら、なんら問題ありません。
ぎゅっとしめれば、血流は、ピタリととまる。
するりとゆるめれば、サッと流れる。
ところが、ひとの血管はそうなっていません。
小学生くらいから、血管の中身は、変化がはじまります。
(ムカシ、研究していました)。
具体的には、内腔がデコボコしてくるんです。
おまけに、血管の壁がかたくなってきます。
これを動脈硬化といいます。
すると、ギュッとしめあげても、デコボコした血管内腔のすきまから血がながれてゆきます。
血流をとめるのは、容易ではありません。
200までしめあげても、血流はとめられない。
すると、上の血圧は、200を超える、と血圧計には表示されます。
さあ大変という事態をうみます。
ホントの血圧は、もっともっと下なのに、です。
下の血圧も、同様です。
しめつけをゆるめていっても、うずがなくなりません。
血管の内腔が、デコボコしているからです。
いつまでも、うずをまく。
年とともにみられる、よくある光景。
自動は、融通がききません
自動血圧計は、血管内腔のデコボコに気をくばるアタマをもっていません。
200の圧力をくわえても、まだ血流は止まらない。
血圧は、200オーバーですよ。
平気で、こんな結果を数値にだします。
「そんなに高いのか、そりゃ心配だ」
さっそく血圧の薬をはじめなくっちゃね。
いや待ってください、ホントにそんなに高いんですか?
数値にふりまわされすぎないでください。
ふつうじゃない数値がでたとき。
本当にそれは正しいことを反映しているのですか?
まずは脈をじっくり触れてみましょう。
血圧200の圧は、血管壁をゴウゴウとおし上げる衝撃が伝わります。
大水で増水した川の水のイメージです。
心臓の負担をしらべてみます。
血圧200の心臓は、負担で疲れはてているはずです。
くわえて、心臓の弁だって、ちゃんとしていません。
本当の血圧は、そんなに高くはないよね。
そういうことが、しばしばみられます。
血圧の薬で、低血圧
ホントは高くはないのに、血圧の薬をのむ。
まず、あらわれやすいのは、フラフラ感です。
血圧の薬と、めまいの薬のセットなんて、ほとんど茶番です。
立ち上がって、あるいは歩きはじめて、フラフラ。
ふっと意識が遠のいて、ドシンと転倒。
足のつけ根をおる事故。
頭をうって、硬膜下血腫。
そのウラに、血圧の薬はからんでいないでしょうか。
湯船の中で、ふっと意識が遠のく。
知らぬまに、ブクブク。
交通事故死者の3倍もの方が、フロ場の事故でなくなっています。
現代は、交差点より、フロ場の方が要注意の時代。
そのカゲに、血圧の薬はからんでいないでしょうか。
結局、何を信じたらいいの?
むつかしい問題です。
のぞましい血圧の値は、変遷をとげています。
大昔は、血圧なんで気にしない。
血圧計なんて、なかったしね。
(いまも、そういう地域は、どこにもあります、世界は広い)
その次は、年齢たす「90」。
90歳なら、血圧の上の値は、180くらいがいいかね。
やがて、もう少しきびしい時代へ。
160以上は、気をつけましょう。
そして、今。
130をこえると、高血圧ですか???
日本国民の2人に1人が高血圧という、高血圧大国ニッポン。
北欧では、90歳なら180くらいがイチバン元気だね、なんていう国もあります。
そういうお国もある。
何を信じましょうか?
医学が、だんだんと宗教化してきているのでしょうか。
そうなると、わたしの出番じゃなくなります。
ああ、およびじゃない、シツレーしました。