冷え症
病気じゃない病気
こがらしが吹きはじめると、「冷え症」にはつらい季節です。
いまは、冷房が発達して、季節感がない年中行事みたいな冷え症もはやっていますが。
ところで、「冷え症」。
「症」という名前がついていながら、病気としての立場がありません。
おおきな医学書をひもといても、「冷え症」という項目がありません。
索引にも、でていません。
病気として、認めてもらえない存在です。
病気として認められませんから、治療法ものってません。
なにしろ、病気じゃないんですから。
健康診断や人間ドッグでも、みつかりません。
病気じゃないんですから。
血液を調べたって、わかりません。
ですが、日本語には「冷え症」というコトバがあるんですね。
ちゃんと「冷え症」という位置をみとめています。
みとめるどころか、とても大切にあつかっています。
だって、冷えたら動けなくなるからです。
痛くなるからです。
不快になるからです。
不調になるからです。
ですから、見すごしちゃいけません。
なんてすばらしい文化なんでしょう。
そして、センスのよさ。
ところで「冷え性」とは?
わたしたちの体は、生きています。
生鮮品です。
生きつづけるためには、体温が必要です。
体温のもとで、細胞活動が可能だからです。
その値は、性別、人種、信条、、住まい、キャラ、体重などにかかわらず、狭い範囲で一定です。
平均36,5℃〜37,0℃くらいが理想です。
子どもは、そこに0.5℃くらい上乗せした高い値。
42℃を超えると、細胞がダメになってしまいます。
34℃をわると、細胞が動かなくなってゆきます。
でも、ホントは、体温に振りまわされない。
数値にこだわりすぎない、ということです。
「自分で、あたたかさを感じられれているか、どうか」の方が大事です。
つまり、自分で冷えを感じているか、ということです。
自分の感覚と感性で体温はみるもの。
冷たいな。
これは、フツーではない、ということです。
「冷たい」イコール「ちゃんと細胞活動ができていない」ということですから。
なぜ冷えるのか
冷えとは、どういうことでしょうか。
それは、あたたかいという快適設定温度まで、体温が達していないということです。
冷える理由は、「人間はダルマストーブ」とみれば、簡単です。
ちゃんと熱がつくれていないこと。
つまり、ストーブがちゃんと燃えていない、ということです。
燃えていないストーブに手をかざしても、あたたかくありません。
人体は、ダルマストーブ。
すると、燃える場所は、「オナカ」です。
オナカで、ちゃんと燃えていない。
ちゃんと燃えない3大理由をあげておきます。
(1)マキが入っていない(食べられていない)
(2)マキじゃなく、紙クズばかりがくべられている(砂糖は紙)
(3)マキのくべすぎ(食べすぎ)
ちゃんと、燃えるマキを、適切にくべていますか?
くわえて、ストーブの火を消そうとしていませんよね。
(4)つめたい飲食物
(5)くだもの
これらが燃えにくい、というのがおわかりですか。
逆に、火を消しかねない。
ひと昔前の、冷たく冷えたスイカは、夏の風物詩。
何で冷やしていたでしょうか。
井戸水です。
井戸の水温は、だいたい18℃くらい。
そこに、冷え冷え感を味わえた時代もありました。
冷蔵庫の中のものは、4℃くらいです。
このちがい、わかりますか?
まわらない
心臓の中は、熱い。
体で、いちばん活動している臓器だからです。
なにしろ、1分間に60回以上も、のびちぢみ。
1回につき、コップ半分の血液をおくり出す収縮力。
それが、休みなしです。
寝ているあいだも、です。
とうぜん、そこから出てくる血液も熱い。
そんな血が、全身をめぐってゆきます。
出てから、ふたたびもどるまでの時間は、平均すれば50秒ほど。
1分もしないうちに、体を1周して帰ってきます。
じつにダイナミックな流れです。
そのため、体の体温はどこでも一定、のハズです。
なのに、手の先が冷たい。
足がコオリのよう。
となっているとしたら、考えられることは、そこに血がちゃんとめぐっていない、ということです。
めぐってこなければ、冷える。
せっかくの熱い血潮よ、なぜ来ない。
具体的には、
血がゆかない
血が渋滞してもどれない
のどちらか、あるいは両方が原因になってきます。
対策はある
冷え症をつきつめてゆくと、2つの要因がうかびあがってきます。
オナカは、ちゃんと燃えているか?
血流は、ちゃんとめぐっているか?
この両者がうまくゆかないとき。
「冷え」が発生してきます。
そして、往々にして、この2つは連動しています。
たとえば、足先の血のめぐりがうまくゆかない
→足先が、冷える
→冷えた血が、オナカにもどってゆく
→オナカが、冷える
大切なことは、「冷え症」には理由があるということです。
理由がわかれば、対策もたてられます。
あたたかく、すごしましょう。