水戸街道旅ラン(130キロ)、ひかえおろう
歴史街道
お江戸時代。
水戸藩江戸屋敷は、いまの後楽園ドームのおとなり、現在の小石川後楽園にありました。
そこをスタート地点として、水戸へとむすぶ当時の道を旧水戸街道といいます。
クネクネと地形にそって曲がりくねった道中、千住宿から水戸宿までの20の宿場をチェックポイントとして通りぬけ、水戸城の門まで走ろう。
そういうおバカ企画のレースに参加してきました。
距離は130キロ、制限時間は26時間。
11月16日としてはあたたかな土曜の午前10時、スタートです。
常識を欠いた参加ランナーは180名ほど。
とちゅう、3ヶ所のエイドはありますが、ほかに何の援助もありません。
地図かGoogleマップを手にし、背中にしょった水や食べもの。
あとは、道中のコンビニが当時の茶店がわりです。
途中でリタイヤしたら、自力で帰る。
荷物の運搬はありませんので、スタート地点ですべての持ち物をもつ。
さあ、幕開けです。
スタート前の、まだ余裕を感じる時間
都心は走れません
ちゃんとしたマラソン大会ではありません。
なので、歩道をとおり、信号にしたがう。
都心は信号の町。
ちょっと進むと、信号待ち。
おまけに、人通りのおおい場所は、ラン禁止。
ひとの流れに従います。
浅草あたりは、さすがにひとの波。
歩くのさえ、容易ではありません。
まあ、さいしょは都心観光とします。
下町をぬけ、江戸川をこえると千葉県へ。
おおきな川です、むかしは渡るのも大変だったでしょう。
我孫子、取手あたりで、すっかり闇につつまれます。
それを待っていたかのように、雨がふりだしました。
ヘッドランプを装着し、ウインドブレーカーをはおります。
この季節の、深夜、早朝のキモは、寒さ対策です。
思ったいじょうに、本格的なふりになってきました。
でも、走りつづける。
日付けがかわって、気がつけば雨もあがっています。
雲間から、お月さんが顔をだします。
小石川後楽園をぬけて、いざ出陣
ちょっと走っては、信号待ち、の繰り返し
けっこうな人出です、まあ観光気分
こういうところは、歩行ですすむのがルールです
広い江戸川をわたると、千葉県になります
やたらと長い橋をわたる、雨がおちてきました
おいはぎ、化けもの
現在の水戸街道は、一直線の大型幹線道路。
一方、地形にそった旧水戸街道は、クネクネ。
ようやく茨城に入ると、山道化してきます。
人家もなく、街頭もなく、真っ暗闇の坂道。
両側には、うっそうとした茂み。
前後のランナーもばらけて、ひとりでいると、こわいくらいです。
ここなら、おいはぎが出てもおかしくないな。
タヌキやキツネに化かされてもおかしくないな。
ということで、いがいと眠気にはおそわれませんでした。
やがて、足元から夜が明けはじめてきました。
疲労感は、オナカから始まる。
固形物は、受けつけなくなってきています。
すると、ふたたび天からポツリ、ポツリ。
やがて、ザーザーぶりになってきました。
思ってもみなかった土砂降り。
もう、何だかわかりません。
60キロ地点エイド、もうびしょ濡れ状態です
街灯が途絶えると、真っ暗闇だけの単なる山道
茨城の朝、どこいら辺だか、よくわかりませんが、進む
ふたたび土砂降りの洗礼、洗いたまえ清めたまえ
やはり一歩
それでも、水戸が近づいてきました。
街道も、クネクネから、真っすぐになってきています。
この真っすぐが長い。
どこまで続いているのか、先が見えない。
もう精も根も、つきはてようとしています。
雨降りが幸いして、ご近所のお散歩さんがおりません。
いたら、散歩のひとに抜かされるスピードです。
とにかく一歩。
一歩でれば、一歩目的地に近づいているハズ。
あれ、雨があがってきたぞ。
と思うが、みるみると青空にかわってゆきました。
まぶしい水戸街道であびる、はじめての秋の日差し。
もうほとんど歩きスピードで、ようやく水戸街道の起点へ。
ここには、江戸街道とかかれています、そうなのか。
あとは、水戸城の門まで3キロ。
一歩も、重なれば130キロ。
ついにゴールにたどりつきました。
25時間01分48秒かかりました。
ゴールでは、スタッフのお迎え。
記念写真をとってもらえます。
ちょっと待って。
おもむろにバッグからとり出す、黄門サマの印籠。
「ええい、ひかえおろう」
これがしたくて、ずっと印籠をもって走っていました(笑)。
ついにたどり着いた水戸街道始点は、江戸街道とかかれていました
そして水戸城の門、ここがゴールです
雨にもふられましたが、最後は祝福の晴天、ノー天気なポーズ
さすがに、足はすこしむくんでいます
オマケ、ぐんまマラソンでの研究
水戸街道の2週間前、文化の日はぐんまマラソン、フル。
42キロをつかっての研究です。
日ごろ、和の動作のしくみを考えています。
マラソンも、和装で走れば、どうなるか。
男子の正装、羽織ハカマにワラジです。
いがいと重い。
そしてハカマがまとわりつきます、走った場合。
そういうなかで、どう走るか。
歩幅は、ひろがりません。
結果は、疲れました。
まだまだ研究の道はつづきます。
スタート前のポーズ、これからマラソンの雰囲気なし
ゴール地点、この衣装でもスイスイ走りたい