熱中症対策のキモ
真犯人はだれか?
熱中症。
熱に、あたる(中)、病い、とかきます。
名は、体をあらわします。
ということで、高温環境が原因と思っていませんか。
ところが、いつも名前が、本体をあらわすとは限りません。
静子さんが、必ずしも、静かじゃない、という具合に。
それなら、熱中症の多発地帯は、どこでしょうか。
たとえば、日帰り温泉施設です。
磯部でいうなら、「めぐみの湯」ですか(宣伝)。
なにしろ、40℃をこえる湯に、どっぷりとつかるんです。
熱中症患者が、続々と発生中。
温泉前の玄関には、救急車がいつでも待機。
なんてこと、ありませんね。
暑くても、必ずしも、熱中症にはなりません。
真冬に、熱中症にかかるひとだって、いるんですし。
熱中症の真犯人は、だれか?
さあ、名探偵コナン君の出番です。
(来ないけど)。
血流
わたしたちの体の中では、血液が、グルグルとまわっています。
グルグル、です。
さらさらゆくよ、の『春の小川』のイメージではありません。
全身をめぐる血液の量は、およそ4リットル。
500のペットボトル8本くらいです。
体重とは、あまり相関しません。
若いころ50キロだった体重が、いまは2倍の100キロまで成長してしまった。
といって、めぐる血液量は2倍の8リットルにはなっていません。
そんなに、ふえません。
ふえているのは、中性脂肪で、これは血液以外のモンダイです。
この4リットルが、24時間、休みなくめぐっています。
平均すると、1分間に体を1周する早さです。
けっこうな、ダイナミックさじゃないでしょうか。
ここに、酸素をとかし、栄養物をまぜ、老廃物を受けとっています。
つまり、命をつむいでいます。
体全体でみると、体重の約6割は、水分でできています。
体重が50キロでしたら、50×0.6=30リットル(キロ)です。
このうちの4リットル分が血液で、からだをめぐる。
のこりの水分は、血管外にあります。
体をうるおわす水分です。
ちなみに、体の水分は、「塩水」です。
海につながっているんでしょうか。
体は、うるおった大地。
血液は、大地の中を流れる川。
いずれの成分も、塩水が本体。
日照り
日照りがつづくと、川の流れは、いきおいを失います。
水位も低下します。
血管内の血液がこうなったら、どうでしょうか。
酸素が、運べない。
栄養分が、運べない。
老廃物を、回収できない。
つまり、体調を維持することができなくなります。
具体的には、どうなるでしょうか。
気持ちがわるくなる。
アタマがズキズキしてくる(酸素不足)。
ボウっとしてくる。
やがて、意識も遠のいてゆく。
血流低下でおこる、これらモロモロの症状群。
これが「血流低下症候群」です。
(わたくしの命名)
この血流低下が、おもに暑い環境下で急におこったとき、「熱中症」といいます。
ですから、熱中症の本体は、「血流低下」です。
「熱」や「気温」よりも、「血流」が主役です。
主役は、血流
暑くて、汗をいっぱいかいたから、熱中症になった。
正しいようで、思考の飛躍があります。
汗をかいても、血流が保たれていれば、熱中症にはなりません。
温泉につかって、いい汗をいっぱいかいた。
体もポカポカ、うんとあたたまった。
でも、熱中症にならないのは、血流が保たれているから。
「血流」。
これが、熱中症を考えるさいのキモになります。
暑い現場ではたらく方がいます。
溶鉱炉。
ガラス職人。
行商。
それぞれ、血流をたもつ工夫が、代々受けつがれています。
市井の人々のあいだにも。
川の水は、いじれない
川の水量をかえる。
これは、容易なことではありません。
川の水量は、大地のうるおい具合の「反映」だからです。
大地が水をたくさんふくんでいれば、水量はふえます。
たとえば、雨がふったあと。
大地がかわききっていれば、水量は低下します。
日照りの最中。
血液や血流も、同様です。
注射や点滴という人工的な手を介さないかぎり、血流に直接かかわれません。
やはり、血管外の「体の水分」の反映です。
つまり、大地の反映。
ちなみに、大地が水をふくみすぎたのが「むくみ(浮腫)」です。
血流がふえすぎたのが「うっ血」です。
赤ちゃんは、大地がうるおっています。
水分の割合が、7割くらい。
モチモチ肌の正体。
年とともに、大地はかわきはじめます。
水分の割合が、5割をわることもあります。
カサカサ肌の正体。
体から出る水分は、皮膚からがダントツです。
体に入れる水分は、もちろん、口からです。
汗をかいて、水分不足が心配。
といって、スポーツ飲料や野菜ジュース等には、注意してください。
これらは、濃度がとても濃いです。
飲めば飲むほど、血管内から水分をうばってゆきます。
つまり、逆の作用となってしまいます。
ゆきつくところは、こまめな「水分と塩分」の補給です。
汗にちかい成分です。
一気にとっても、消化管からの吸収がおいつきません。
消化管というクダを、ザーッと流れさるだけになってしまいます。
古人の智慧
どんな環境下でも、血流を保たせたい。
何か、いいモノはないでしょうか。
そういう発想のもと、漢方も工夫を重ねてきました。
ずばり、水分バランスを整えて、「血流」を守る漢方薬です。
状態や状況におうじて、いろいろあります。
その基本は、「白朮と茯苓」という生薬のコンビです。
体の中の水分バランスを整える、最強の相棒。
なにしろ、体の水分が多いと察すれば、さばく。
少ないと感じれば、うるおす。
オマエたちは、第二の腎臓か、っていう名コンビです。
こういう西洋薬は、まったくありません。
これをとってから、畑に出る。
これをのんで、暑い部活をのりきる。
熱中症「予防」に、つよい味方です。
どうも熱にあたったみたい。
フラフラ、ガンガンしてきた。
熱中症になったあとにも、「回復効果」をもっています。
そう、
熱中症予防に、一服。
熱中症になってしまったら、一服。
なる前の一服、
なったあとの一服。
前にも、あとにも、血流を維持・回復させる妙薬です。
先人の智慧に感謝です。