自律神経は「失調」しますか?
体の中の、アクセルとブレーキ
車のイメージから、はじめます。
車を走らせるには「アクセル」をふみます。
するとエンジン動力がタイヤに伝わり、車は発進します。
逆に、走っている車を止めようとするなら「ブレーキ」をふみます。
するとスピードがおちて、さいごは停車します。
人間にも、似たような神経システムがあります。
このシステムを「自律神経系」とよびます。
アクセルに相当するのは、「交感神経系」です。
「活動」をになう神経系です。
ブレーキに相当するのは、「副交感神経系」です。
「休息」をになう神経系です。
車とちがうところは、ブレーキは「休息」だけではありません。
「修復」作用もになっています。
寿命
車の寿命は、長くなりました。
むかしは、数年おきに次に乗り換え、なんてふつうにありました。
けっこう劣化がはげしかったからです。
いまの車は、ガンジョーになっています。
10年をこえて乗りつづけても、とくにこまりません。
ところで、人間の寿命はどうでしょうか。
車の比ではありません。
日本人の平均寿命は、80年をこえています。
なぜ、車より人間の寿命が長いのでしょうか。
その要因のひとつが、人間には「修復」能力があるからです。
副交感神経系が担当しています。
そう、人間は「修復」しながら、生きる存在です。
車には、走りながら修復できる能力はありません。
ここが、決定的な寿命の差をうんでいます。
ですから、人間は車よりも長持ちします。
なぜなら、人間には「休息」プラス「修復」機能をもっているから。
そう、副交感神経系の役割です。
「休息」は「修復」とペアである。
このことは、ゆめゆめ忘れませんように。
すばらしい能力です。
スイッチ
人間のなかの「アクセル」と「ブレーキ」。
つまり「活動」と「休息・修復」。
この切りかえの主導権をにぎるのは、太陽です。
お日さまの登場にあわせて「活動」スイッチが入ります。
お日さまのもとで、「活動」スイッチは働きつづけます。
お日さまの沈むのにあわせて「休息・修復」スイッチに切りかわります。
夜間は、休息と修復の時間。
こういう生活を、人類は地球上に誕生以来、ずっと営んできました。
それこそ、何万年もです。
この生活に変化が生じたのは、最近のたかだか数十年です。
電灯の発明と普及が、おおきな要員のひとつです。
夜が夜じゃない。
その結果、「アクセル」と「ブレーキ」のふみどきがわからない時代になってしまいました。
人類史上、はじめてのビックリ生活です。
スイッチあればこそ
人間は、ナマモノです。
生鮮品。
「アクセル」のふみっぱなしでは、疲れてボロボロになってしまいます。
「ブレーキ」のふみっぱなしでは、活動ができません。
ちゃんと切りかえられての、日常生活です。
なのに「アクセル」と「ブレーキ」がうまく切りかえられない。
切りかえても、ふみ具合がうまくゆかない。
そういう方が、ふえています。
「アクセル」をふみすぎて、ボロボロの方。
「アクセル」がちゃんとふめずに、活動力がだせない方。
「ブレーキ」をふみすぎて、動けない方。
「ブレーキ」がちゃんとふめずに、休息・修復がままならない方。
西洋医学は、これら全部をひっくるめて「自律神経失調症」とよんでいます。
「失調」ですか?
ちがいますね。
切りかえがうまくゆかないのです。
治療に、精神科の薬をつかいます。
「脳」の病気ですか?
ちがいますね。
スイッチがうまく作動できないのが原因ですから。
「アクセル」なら、アクセルに着目。
「ブレーキ」なら、ブレーキに着目。
ミソもクソもいっしょには扱いません、世間のジョーシキ。
(お下品で、すいません)
快適ドライブを
朝なのに「アクセル」がふめない。
昼間なのに、「ブレーキ」が強くかかる。
(とくに食事後)
夜になって、ガンガンに「アクセル」をふみこむ。
(スマホだ、ゲームだ、SNSだ)
眠りたいのに「ブレーキ」が入らない。
こんな生活の方が何と多いことでしょうか。
これで快適にくらすというのは、むつかしい話です。
とくに「アクセル」のふかしすぎは、危険です。
「ブレーキ」のふみすぎは、生活がなりたちません。
生活のなかで、きちんとふみわけられる。
ふむ程度を、きちんとコントロールできる。
うまくゆかなかったら、自律神経の自動車教習所が有用です。
快適な、日常生活ドライブをたのしみたいですね。
アクセル | ふみすぎ | ふめない |
ブレーキ | ふみすぎ | ふめない |
切りかえ | できない |